2008年1月7日月曜日

たとえ話

今回は少し趣向を変えて,最近の身の回りの話を,いつか使えそうなたとえ話として備忘録に書いておこう.

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若造のA君は,かなり前からある車が欲しくてたまりませんでした.

その車は,通勤路沿いの自動車ショップに展示してある超高級スポーツカーでした.
少し古い中古車だったけどうっとりするようなデザインで,A君はその外観に惚れ込んでしまっていました.
彼にはとても買えないような値段だったので,決して手に入れることはできなかったけど,それでもその車に対するあこがれは消えることがなく,店頭に飾られているその車を横目で見ながら毎日通勤していました.

ところがある日,そのスポーツカーが500万円で売りに出されていることを知りました.
ショップの経営が苦しくなったのか,かなり安値で売り出されたようです.
彼はお金はなかったけど,矢も盾もたまらずそのショップに行くと,「試乗させてくれ」と願い出ました.
このショップの店長はそのスポーツカーを大変大切にしている人で,普段ならそんな一見の客に試乗させる訳はなかったのですが,たまたま店長は不在にしていたので,アルバイトの店員を説き伏せて,試乗することに成功しました.

それ以来,A君はこのスポーツカーの虜になってしまいました.
確かに高性能なスポーツカーは,A君にとっては乗りこなすのは大変でした.
しかし,そのデザインやかっこよさは他に比べようもありません.
店長が不在のときにショップに行っては,アルバイト店員の制止を無視して何度も試乗を繰り返しました.
「絶対にこの車を手に入れてやる!」
A君の心はそう固まっていきました.
が,しかし,A君には100万円しか貯金がありませんでした.

ある日,A君は意を決して,店長がいる時にそのショップに向かいました.
そして,初対面の店長に向かってこういいました.
「絶対大切にするからその車を100万円で売って下さい!」
いきなり見知らぬ客にそんなこと言われても店長は面食らうばかりです.
500万円でも安いと思っている車を,100万円で売れるわけがありません.
店長はA君をほとんど門前払いするように追い返しました.

しかし,A君のその車を手に入れたいという気持ちはおさまりませんでした.
どうすればその車を手に入れられるか...
そればかりをA君は考えていました.

ある日,A君はついに行動にでました.
店長のいない日にそのショップに行き,アルバイト店員の制止も聞かず,いつものように試乗するといって無理矢理その車を持ち出しました.
そしてあろうことか...
A君はその車をわざと正面から電柱にぶつけたのです!
車は大破,とまではいかなかったものの,なんとか自走できるという程度まで壊れてしまいました.

彼はその車を運転してショップに戻ると,そこには店長が帰ってきていました.
その車を見て唖然としている店長に,A君はこう言いました.
「事故を起こしてしまい申し訳ありません.でも,修理は保険でできるはずです.
 ただし,もうこの車は事故車だから100万円の価値ぐらいしかないでしょう?
 だから僕が責任を持って100万円で引き取ります!」

さてさて.....
こんなことをする前に,A君が車を手に入れる方法はなかったのでしょうか?
もちろん,いくらでもあるはずです.

まず,お金を貯める.
今やっている仕事だけではお金が貯まらないんだったら,夜にバイトをしてもいいでしょう.
または,もっとお金の貯まる職に転職するのも1つの手でした.
一番いいのは,今の仕事に精を出して,ボーナスや昇給を手にすることだったかもしれません.

また,店長と仲良くなることも必須だったでしょう.
最初は一見の客ということで追い返されるかもしれませんが,何度も通っているうちに同じ車を愛するものとして親愛の情がわくはずです.
そうすれば,A君の車に対する愛情にほだされて,かなり値引きして売ってもらえたかもしれません.
そうでなくても,きちんと分割で払うことを条件にすれば,ローンで買うことも無理ではなかったでしょう.

また,アルバイト店員と仲良くなっておいても損はなかっと思います.
アルバイト店員から店長に口添えしてもらえるかもしれないし,いろんな情報もわかるはずです.

しかし,A君は自分の欲しい車以外のまわりのことが全く目に入らず,こんな行動に出てしまいました.
若さゆえの過ちですませられることでしょうか.

そして,結局,その後のA君とスポーツカーがどうなったのか?
どうなるんだろうね?

やれやれ.....

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

なにやら大変そうですね。。。

とら さんのコメント...

ちなみに,職場関係の話ではありませんので,念のため.