2006年12月25日月曜日

第一滝本館

なにをかくそう,銭湯が好きだ.

大学生のころは,家賃が2万3千円のボロアパートに住んでいた.
10数年前とはいえ,大阪だったので,ワンルームマンションでも一部屋6万円ぐらいの家賃が当たり前だった.
そんな大阪で2万3千円だから,謎の外国人とか,深夜になるとほとんど毎日夫婦喧嘩を始めるがらの悪い夫婦とかしか住んでいない,かなり古いアパートだった.
真夏になると,クーラーがない部屋の暑さに耐えきれず,部屋のドアを開けっ放しにする住人が続出するのだが,おそらく夜の仕事をしていると思われる若い女性がスリップ一枚で苦しそうに昼寝しているのを目の当たりにすることもあり,訳もなくどきどきしてしまったものである.

そんなボロアパートなので,もちろんトイレは共同だし,部屋に風呂などついている訳がない.
ただし,そういう人たちのために,住んでた周辺には2件の銭湯があった.
なので,暑い日も寒い日も毎日毎日銭湯に足を運んだ.(お酒を飲んで面倒な日とかはもちろん行かなかったけれど.)

ただし,いつも同じ銭湯に行ってると飽きてくるので,よく他の銭湯を探して遠征したりしていた.
なかでも,最も楽しみだったのが,元祖スーパー銭湯ともいうべき,夢の公衆浴場 五色である.
今でこそ,そこらじゅうにあるスーパー銭湯だが,当時はこの五色湯のようにでっかくて24時間開いている銭湯はなかった.
スクーターや車を使わないと行けない場所だったが,徹マンした後などに朝方入りに行くのは,貧乏学生には至福の時間だったように思う.

時は過ぎて,福岡に引っ越してきた後も銭湯通いの癖が抜けず,いろんな銭湯や日帰り温泉をはしごするのが趣味になってしまい,自他ともに認める銭湯好きになってしまった.
最近は,スーパー銭湯もあちこちにできてるし,老若男女,けっこう銭湯好きが多いようである.

そんな,銭湯好きの桃源郷が,北海道は登別にある.

第一滝本館

それがその名前である.

ダイイチタキホンカンってなんだ?と思ったそこの君は反省しなさい.
登別温泉というのは,滝本金蔵という人が,最初に温泉宿を建て(実は今では最初じゃないという話になってるらしいが),登別までの道を整備したそうな.
なので,登別温泉にとっては,滝本金蔵という人は神様みたいな人で,その滝本金蔵さんが最初に建てた温泉宿こそ,現在の第一滝本館なのである.
だから,この名前は,ダイイチタキモトカンって読むですってよ,奥さん,なのである.
はるばる登別まで来て,チェックインした後に地獄谷という近場の観光地に行って,そこで登別の歴史が書いてある説明文を読んだときに初めて気がついて,ええぇっ.....
なんてことは恥ずかしいので,口が裂けても言ってはいけない.

この第一滝本館,個人的にかなりお気に入りの温泉宿である.
まず,でかさがいい.
アメリカのラスベガスとかに行くと大規模なホテルはいくらでもあるが,日本には大規模温泉旅館はあんまりない.
(お前が知らんだけだ,というつっこみを受けそうだが.)
とりあえず,ど〜ん,て感じがいいね.
これだけでかいので,お土産やもゲームセンターもカラオケもラーメン屋もなんでも館内にある.
まあ,そんな所にはあまり行きませんが.

部屋は普通の温泉旅館の和室なのだが,部屋まで荷物を運んでくれたり,部屋食の世話をしてくれる仲居さん,といってもおばあちゃんに近い人ばっかりだけど,この人たちの接客がつかずはなられずって感じで,すごく,落ち着く感じがする.
北陸の方にある某有名温泉旅館に泊まったときは,暇だったのか,部屋にずっとつきっきりになられてひどく困ったが,こちらは,呼ばなければほっといてくれるし,黒子に徹してくれるという感じである.
やはり,この辺は老舗の強みだろうか.

そして,そして,なんといっても一番すばらしいのは,大浴場.
とにかく,広い.
ぜんぶで1500坪の中に30個の風呂があるらしい.
暑いのからぬるいのまであるし,それぞれのお風呂の泉質が違う.
それぞれの泉質には,癒しの湯,きずの湯,熱の湯,万病の湯,鬼の湯,美人の湯,美肌の湯という名前がついている.
他にも,うたせ湯もあるし,歩行浴もあるし,寝湯もあるし,もちろんサウナも.
まさに温泉好きにはパラダイスの温泉天国
しかも広くて,みんな裸のまま,あっちへうろうろ,こっちへうろうろって感じで,"裸の楽園"という名前をうちの嫁さんはつけてしまった.
もともと,登別温泉は泉質が7種類あり,様々な種類の温泉に入れるのが売りなのだが,ここまでやるか?と感じるほどの設計である.

露天には,滝本金蔵さんの名前をとった"金蔵の湯"という源泉が露天風呂としてあるが,これはかなり熱い,が,なんか効く感じ.
登別温泉の底力を感じることができる泉質である.

あと,ここの露天風呂では,世の中の温泉好きが一度はやってみたい,"露天に浸かって一杯"というのができる.
露天の横に小窓があって,ここで,生ビールや日本酒を注文するシステムになってる.
でも,実際に飲んでる人はいなかった.
だって,冬は寒いからね.

こんなすばらしい温泉宿なのに,なおかつ結構宿泊料金が安い.
かなりいいバイキングの夕食,朝食がついて,安いときは一人1万円を切る値段設定.
温泉宿の値段がバカ高い近畿と比べても安いが,九州の温泉と比べても安いらしい.
さすが登別.さすが第一滝本館.

この第一滝本館には,無料のポイントカードもあって,入会するとお土産やで割引ができたり,チエックアウトが延長できたりする.
ポイントが貯まれば,かなりお得な割引もある.
もちろん,入会しましたよ.
だって,必ずまた来るからな.

久々に,いつまでも,ずっとこのまま営業してて欲しい,と思う温泉宿だった.

0 件のコメント: