2007年5月11日金曜日

法善寺 浅草

ほとんど好き嫌いはないのだが,"げてもの"と呼ばれるものをわざわざ食べる趣味はない.

ただし,人生三十数年生きてくると,それなりの変なものを食わされることはある.

最初に食べた変なものは,大学生の頃に食べさせられたウミガメだろう.
大学生時代に家庭教師をしていたのだが,その家では毎回そこの母親の夕食をごちそうになっていた.
出される料理はどれもおいしく,いつも楽しみにしていたのだが,ある日,その家の実家から送ってきたというウミガメの煮付けが出てきた.
なんでも,実家は淡路島で漁師をしているそうで,漁でときどきウミガメがかかるらしい.
で,網にかかってしまうと死んでしまうので,ときどきこうやって料理するとのこと.(ほんとは捕っちゃいかんらしい.)
珍しいから食べろ,とのことだったので食べてみるが...まずかった.
ショウガを大量に効かせてなんとかしようとしてるんだけど,なんとも言えない臭みがあるし,おまけに固い.
たくさん食べなさい,と言われつつ,なんとか少しで勘弁してもらった.というより自分ちで食べたくないからといって勧めないで欲しいよな.

次に食べたのはヘビだろうか.
これは中国の桂林に仕事で行ったときのこと.
結構高級そうな中華料理屋に大勢で入ったときに,知り合いの中国人が,日本人にはヘビが珍しいから食べてみろという.
じゃあ,みんなで少し食べるか,と注文すると,店の人が倉庫のようなところからおいでおいでをする.
なんだ?と思いつつ行ってみると,そこにはとぐろを巻いて絡み合ったヘビ,ヘビ,ヘビ...いったい何匹いるのやら.
店の人は,どれでも料理するから好きなのを選べというが,そんなんどれがいいかわかるわけがない.
(大きさで値段が違うので,それを基準に選ぶんだそうな.)
結局,中国人の人に選んでもらって,唐揚げで食べてたけど,鶏肉に似た感じで,こちらの方は結構おいしかった.
そういえば,この店では鶏も生きたやつを選んでから調理する方式で,悲しそうな鶏の顔が忘れられない.
(そのわりに,鶏のスープをうまいうまいゆうて食べてたが.)

そんなこんなで,"げてもの"からは結構遠ざかっていたんだけど,今回食べたのは,すっぽん,である.
結論からいうと,そんなに"げてもの"じゃなかったなという感じなんだけど.

食べたお店は,大阪なんばにありながら,東京の地名がついている法善寺 浅草である.
店名の由来は,最初にお店のあった場所が,気さくで活気の溢れる東京の浅草の町に似ていたので,という話だそうだ.
(仲居のおばちゃんに聞いたら,丁寧に教えてくれた.)

そういえば,なんでこんなお店になったかというと,飲み会の主賓がこの店を選んだからである.
で,なんでこの店を選んだのか主賓に聞いてみたら,"前に来た法善寺の周りの店の雰囲気がよかったから"だそうな.
ちなみに,この法善寺の辺りは接待に使われそうないわゆるお高い店がそろっているので,若造は近づいてはいけません.

今回は,このお店ですっぽんのコースということになっていたが,最初に出てきたのはすっぽんの生き血ジュース.
飲んでみると,味がしない.薄め過ぎか?
前に蛇の生き血を飲んだときは,もっと血の味がしたぞ.

次は,って,もう後はすっぽん鍋しかない.
コースっていっても,他はすっぽんと関係ない小鉢が2,3出てきただけである.
あんまりすっぽんづくしではない.

このすっぽん鍋なんだけど,一言でいってしまうと,印象が薄い.
まずくはないけど,おいしくもない.
なんでも,この店ではすっぽんの灰汁を取るために,相当な時間をかけて下ごしらえしてるらしい.
だから,泥臭くないんですよ〜と仲居さんは言うが,泥臭くないかわりに,あんまり味もしない.
すごくあっさりした魚を食べてる感じだったような.多少はゼラチン質があったか.
というぐらい,味的には記憶に残らない鍋だった.

後は適当にお酒や追加の一品とか頼んで,お一人様8000円程度.
まあ,大人の会食なのでこんなものである.

が,大人の会食だったわりには,店を出てからみんなアイスクリームを買い食いしたうえに,2次会と称してビアホールのニューミュンヘンに繰り出したりする.
どの辺が大人なんだろうか.参加者の肩書きだけ見ると,立派な大人ばっかりなのにねぇ.

これで,かなり"げてもの"を食したことになるけど,"どじょう"だけにはお目にかかりたくないものである.
もともと魚を頭ごと食べるのは苦手だけど,あの髭つきのやつを頭から食べるのだけは絶対にやだな.
食わず嫌い王に出ることがあったら(そんなことないけど),どじょう鍋にしよう.

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